参加者の声

堀川浩二先生
私立中学校・高校

教師を退職し、2年間学んだ先に新しい自分を見つける

「凡庸な教師はただしゃべる。良い教師は説明する。優れた教師は自らやってみせる。そして、偉大な教師は心に火をつける」――ウィリアム・アーサー・ワードの名言を座右の銘に、常に新たな挑戦を繰り返し、自分自身が楽しんで学ぶ姿を見せてくれる堀川浩二先生。学び続ける姿勢の大切さは、TIでの体験から気付いたと言います。

 現在は情報科の教員をしていますが、元々、大学では美術教育専攻の中で書道を専門に学んでいました。書道家を目指して中国に留学もして、大学には8年、大学院にも4年行きましたので、小学校から通算すると24年間も学生をしていたことになります。その後、進路を考える際には、自分の書道の師匠を見習って、書道を教えながら学校の教師として働くという道を選びました。
 教員免許は書道と国語を取っていましたので、中学生と高校生にその両方を教えていました。でも、実は国語は自分にとってあまり得意な教科ではなくて、生徒にとっては受験で重要な意味を持つ国語を自分が教えることに迷いも感じていました。ただ、書道一本に絞ってしまうと、働き口がなくなってしまいます。
 何か別の教科がないかと考えていた時に、情報科というものが新設されました(2003年)。これがいいんじゃないかと思い、通信教育で情報科の教員免許も取りました。すると、ちょうどその頃にいわゆる「未履修問題」が起きて、情報科の授業数と重要性が急に高まったんです。結局、書道も別の先生にお任せして、情報科一本でやることになりました。

 情報科の授業は、自分も受けた経験がないものでしたが、イチから作っていく面白さがありました。情報科というと、コンピューターの仕組みやその扱い方を学ぶ科目だと考える人が多いと思います。当然それも重要なんですが、自分自身は少し違う考え方を持っていました。
 具体的には、コンピューターの仕組みや扱いにプラスして、「世の中に溢れているすべての事柄を情報と捉えた時に、それをどうやって加工するか、どう人に伝えるか」というようなことを教える科目だと思っていたのです。だから、例えば「学校にある遊休地の有効活用をどうしますか?」とか「制服を作り直すとしたら、どんなものがいいか?」といったお題を生徒に与え、生徒が自分で考えて提案してもらうような授業をしていました。
 そんな頃に「クエストカップ」のことを知って、これは面白そうだと思いました。
「クエストエデュケーション」は自分でやっている情報科の授業にすんなりと取り入れられそうだし、頑張れば全国大会に出られるという生徒にとってわかりやすい目標もあります。それに企業ともつながっているという魅力もあって、こんな場に参加したら、きっと生徒たちも大きく成長できるだろうなと感じたのです。

 クエストカップには8年連続で全国大会に出場し、クエストカップ2016では企業部門グランプリと人物部門グランプリで2冠を獲得することもできました。自分自身が何か特別な指導をしたという意識はありません。それよりも、生徒自身がそれぞれの発想や意見を聞いて、生徒自身がちゃんと積み上げてくれたことが大きかったと思います。
 クエストカップに参加して、自分自身にも大きな収穫がありました。その一つがTIの存在を知ったことです。クエストカップに参加していると、全国から集まるすごい先生方に出会えます。みなさん、多様でおもしろい取り組みをされているんですが、それらを自分の中にも取り入れることができないかなと思ったことが、TIに参加するきっかけでした。
 TIには、1期(2016年)と2期(2017年)に参加しました。たくさんの考え方や知識に触れられたのですが、そこで出会った他の参加者との様々な対話を通じて、学びをつくっていけたのが一番良かったことです。それによって「自分もまだまだ学ばないといけないな」ということに気付けましたから。

 実はTIに参加した後、2018年3月にそれまで勤めていた学校を辞めました。背景には複雑な事情があったんですが、「自分にできることを増やして、また今後のことを考えよう」と気持ちを切り替えて、スパッと決断しました。
 教師を辞めた後は、2018年の4月から2ヶ月間、英語を学ぶためにフィリピンに語学留学をしました。それまでは避けていた英語ですが、きちんと習得しておけばいつか武器になるだろうと思ったからです。
 その後、イタリアでの1ヶ月間のボランティアをはさんで、3ヶ月間、フィリピンに戻って英語を学びました。それでもなかなか習得できなくて、今度は2019年の4月から6ヶ月間、再びフィリピンに戻り、今度は午前中はプログラミング、午後は英語を学ぶということを続けました。
 その後、プログラミングの技術を生かして現地のIT系の企業へ就職することも考えたのですが、縁あってイマージョン教育(外国語を使って他教科も学習しながら言語習得を目指す教育)を行っている現在の学校に再就職しました。気が付いたら、日本の学校教育にも、英語に加えてプログラミングに関する知識や技術が必要とされる時代になっていたんです。現在は、学校の教務の仕事に加え学校運営の仕事にも携わっています。
 これは自分自身のスタンスというか、教師としてのモットーなのですが、「生徒のために」ではなくて「生徒と共に」を大切にしています。先生がすごく楽しそうにしている姿を生徒たちに見せて、そのことで生徒たちが「私たちもやってみたい」と感じてくれればいいんです。そのために、自分自身でもいろんなことをやってみる、新しいことを学んでみる。勇気を持って一歩前に出て、新しい自分を見つける。学びは挑戦だと思います。

「凡庸な教師はただしゃべる。良い教師は説明する。優れた教師は自らやってみせる。そして、偉大な教師は心に火をつける」

 ウィリアム・アーサー・ワードという有名な教育者の言葉ですが、とても好きな言葉です。これだったら自分にもできるかもしれないと思って、「学ぶのは楽しいことなんだよ」と生徒に自分が学んでいるところを見せたり、時には心に火をつけられたらいいなと考えています。

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