第6回 アルムナイラボ 2022年7月10日(日)より
ティーチャーズ・イニシアティブ(以下:TI)2期生の田村直宏と申します。2022年4月にトキワ松学園中学校高等学校の校長として就任しました。私自身校長の仕事について理解を深めている最中なのですが、今回は「校長って、どんな仕事をしているの?」をテーマに、私の仕事をいくつか紹介します。
「どれだけ本気でやるか」で質が変わる「あいさつ」
1つ目の仕事は「あいさつ」です。校長のあいさつは非常に多いです。
学校の入学式、始業式のあいさつ、体育祭の開会式・閉会式、6学年分の保護者懇談会、月1回の入試説明会をしています。またPTA幹部会・総会やOG会総会・幹部会などに呼んでもらいます。
さらに、2022年4月から校長が変わった途端、業者の方が表敬訪問してくださいます。とにかく話す機会が多いのです。
あいさつは名前を覚えてもらうためにおこなうのが一般的です。しかし、私としては会話のなかで「意味と笑いのある話」を心がけています。
学校でバザーを開催したときに「先生の話、おもしろかったです!」と、私が話した内容を保護者の方が覚えてくださっていました。
あいさつをする場で意味を持つ話やおもしろい話をすることで、聞いてみようと意識が変わります。周辺地域にある塾へあいさつをした際は、少しでも目立とうと思いダンス動画をみせたこともあります。
どこまで本気でやれるかがコミュニケーションの差につながることを実感した、まさに校長という立場における楽しさのひとつだと思います。
「おはよう」で生徒のようすがわかる
登校する生徒に対してのあいさつも、ただ会釈をするだけではなく、しっかり生徒の顔をみながら目をそらさずあいさつし、お辞儀をするだけで生徒の様子が変わります。
注意や指導はいらないと思っています。1人ひとりに気持ちをこめて声をかけることで、たった2カ月間で笑顔と返事が増え、他校の生徒までもあいさつしてくれるようになりました。
学校の経営は校長のお仕事
経営、お金のお話しも先生方に共有します。わかりやすくあえて簡略化して伝えると、収益をあげるには生徒数を増やし、教員数を減らす必要があります。教員の数を減らすにはひとりの教員あたり、生徒の人数を増やせば教員数は減ります。
1人や2人などの少人数の選択授業をおこなうと、教員数は増えていき支出が増えていきます。これを組合の方々にどうやって理解してもらうかが重要な仕事です。
必ずビジョンは必要なのか?理想の学校とは
ビジョンは校長が考えるものといわれますが、ビジョンの伝達は非常に難しいです。就任前は明確なビジョンがなかったものの、今は教員が「楽」で、生徒が伸びる学校をつくりたいと思っています。
「楽」というのは、気持ちが楽、つまり楽しい状態をさします。なおかつ生徒が伸びていれば教員は自由に時間をつかってもいいのです。教員は自由に時間を使えないと思い込んでいますが、生徒が伸びていれば大丈夫だと思っています。
1番ダメなのは、教員の努力が生徒に反映されていない状況です。これをどうやって教員に伝えていくかがこれからの課題です。
現状維持は衰退と同じ
改革は校長のお仕事だと思っています。私は現状維持は衰退と同義だと考えていますが、そのように考えていない教員も少なくありません。
意識改革のために研修をおこないましたが「うちの学校では今までこうやってきました」「うちの生徒には無理です」という意見が相次いでいました。どうやってそのような意識を変えていくかが課題です。
学校外とつなげていく仕事
校長の仕事は「外に出る」ことで、学校をつなげていくことだと思います。外部研修やスクールなど以下の6つに参加をしてきました。
1、北海道での校長研修
2、ソーシャル・イノベーション・スクール(SIS)の5期生として参加
3、植松努さんのロケット研修
4、STEAMライブラリーへの参加
5、企業探究の導入
6、株式会社Another worksさんと連携協定によりアドバイザー導入
校長の仕事は決まっていない、教員と信頼関係を構築することが役目
結論、校長の仕事は決まっていません。だからこそ苦しくて考え抜かないといけないですが、その分やりがいをもてるので楽しい仕事です。
校長の仕事は時期と場所に応じて最適な動きをします。つまり学校によって仕事内容は異なります。しかし、学校の教員をみて信頼関係を築くことはどこの校長でも共通する仕事だと思っています。校長に就任したばかりで課題もたくさんありますが、やっていくことは明確です。教員との信頼関係を構築しながら生徒の学びを促進できる環境をこれからも目指します。